みんなのディーセント・ワーク

「わたしにできること」がひろがって、つながりあっていく社会へ

キーヴィジュアル

ビジョンVISION

誰もがもっと、安心や喜び、誇りを感じながら働ける社会をつくっていくために必要なことってなんだろう。

一人ひとりにできる「貢献」と、生み出す「価値」を大切に。一人ひとりにできることが、もっとひろがって、つながりやすくなれば、障害の有無に関わらず、誰もが自分の可能性に希望と未来を見いだせるようになる。社会のなかで、「個」が輝き始める。

官民共創HUBでは、このテーマに関わるステークホルダーのみなさまのアイデアを織りなし、必要な仕組みや役割を構築する試みに取り組んでいます。より多くの方々が一緒になって考え、アクションにつなげていくためのヒントとして今回、「みんなのディーセント・ワーク」を提案いたします。

ディーセント・ワークとは?

働きがいのある人間らしい仕事、より具体的には、自由、公平、安全と人間としての尊厳を条件とした、全ての人のための生産的な仕事のことです。ILO(国際労働機関)

仕組みSYSTEM

みんなのディーセント・ワークの実現に向けて。一人ひとりができること、生み出す価値を大切にした仕組みへ。

「ひきだしあうケア」「いかしあうイノベーション」、このふたつが和をなす「まぜあうシステム」を実践することで、一人ひとりにできることがひろがり、つながりあっていく仕組みの構築を目指します。

アニメーションANIMATION

たとえば、精神障害を抱えた方々と共に「みんなのディーセント・ワーク」を実現するために。あなたなら、どのポジションを担いますか?

「ひきだしあうケア」「いかしあうイノベーション」「まぜあうシステム」を力強く進めるには、次の8つのポジションが必要と考えます。これらのヒントをもとに、みなさまと共に考え、共創していけることを願っております。

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対話の種SYSTEM MAP

課題

 

ポジションとアクション

みんなのディーセント・ワーク
みんなにとっての誇りある仕事とは 障害者の「誇りある就労」の議論の前に、そもそも健常者は「誇り」を持って働けているのか?(一個人) 就労支援と一般就労が隔絶している 就労支援〜一般就労がシームレスに繋がっていないので、獲得する技能や経験も途絶してしまう。(ソーシャルファーム経営者) できっこないバイアス(求められる健常者側のマインドチェンジ) 健常者側が「できっこない」という先入観で向き合っている。障害者自身以上に健常者側こそ変わる余地がある。(ソーシャルファーム経営者) 自己分析の解像度が低い どうしても一般の人材と比較すると自己分析力が低いのが障害人材の傾向。自分が何をやりたいのか、何ができて何ができないのか向き合った上で仕事してほしい。(企業人事) やりたいことを語ったことがない 自分がやりたいことは何かと急に問われても、これまで環境を与えられてきた経験がほとんどで、考える機会がなかった。どう答えれば良いのかわからない。(当事者) 「障害者」ステレオタイプが生む歪み 自分の個性、強みではなく「障害」で理解される。硬直したマネジメント(配属、オンボ、アサイン、評価、育成など)の扱いの中で活躍の可能性が阻害される。(当事者) 「障害者」に関するリテラシー不足 障害者は怖い、どう扱えばいいかわからない。(上司・同僚) 福祉としての支援と就労支援の隔絶 ヘルパーさんに助けてもらいながらでしか働けない重度障害の私は働くための支援を受けづらい…(当事者) 障害者就労のマネジメント「コスト」の高さ 日々現場の生産性を高めながらも、一人一人の障害特性・個性に向き合いマネジメントを行うことは大変なこと。(企業人事) 組織に根付く「マッチョ企業文化」 組織の基本デザインは未だ20世紀の生産性至上主義のマッチョモデル。おかしいのは今の私たちの組織の常識の方かも…(当事者・一般就労後に発症) 「法定雇用率」をお金で買う状況 高いマネジメントコストを許容できるのは体力のある大企業が中心。しかもそんな企業は障害者を外部化する。中小企業は難しい。むしろ、企業の格差の助長に。(中小企業) 「精神」障害者の定着率が低い 身体障害と比較してケアにコストがかかる一方で、定着率は低いのが頭痛の種。(雇用者) 就労はできるがやりたい仕事がない 何千件求人があっても職種は数種類。就労は可能だが、やりたい仕事がないこと、選択の幅が狭いこと、キャリアアップを感じられないこと。(当事者) 成長し続ける個人 自分のありたい姿に向かって一歩一歩進んでいく人。 ディーセント・ワークファシリテーター すべての働く人のディーセント・ワークを実現するために「和をなす」対話をファシリテーションする人。 ”混ぜる”複雑系マネジメントできる上司 イノベーター、ケアラー、経営者、障害当事者、行政者、市民、様々な視点を使い分け、その場その場のグッドなマネジメントをする人。 現場と専門性のかけ橋となるコミュニケーター 組織ごとの事業やオペレーションを理解しつつ、医療等の専門的見地から合理的配慮ができるコミュニケーター。 ムーブメントを作る人 課題を社会に聞き、ステークホルダーを上手に巻き込み、共創型で課題解決に取り組むことで、社会にムーブメントをつくる人。 ソーシャルデザイナー ソーシャルグッドなプロセスをファシリテート。サービス、クリエイティブ制作物、ブランド等、世の中にめぐる形に翻訳する広義のデザインを実施する人。 ソーシャルグッド経営者 障害・健常者を混ぜこぜにして組織のビジョン達成に向けて人材価値、組織価値、社会インパクトを最大化する人。 まずは話を聞いてみる好奇心豊かな同僚 自分のすぐそばに自分の知らない世界がある・人がいるかもしれないというように、関心を持つことを忘れず、フラットな人間関係を作れる人。 成長機会を求めた転職キャリア 障害の状態、技能、習熟度など、事者のフェーズは時間と共に変化する。その変化に合わせた転職を自然にする。転職サーフィンへのスティグマ/バイアスの解消。 障害者就労の仕事の選択肢の多様化 障害者就労の求人は数はあっても種類や内容に乏しい。社会全体として障害者へのさまざまな種類、レベル、形態の仕事、すなわち仕事の選択肢を創出・提供する。 ディーセントワークファシリテーターの活躍 障者就労を切り口に、すべての働く人が働きがい・喜び・安心を感じられる職場を実現するためのプロ支援者が現場に入りファシリテーションする。 人生フェーズに合わせた就労の選択肢の提供 そのときの人生のモードや環境、健康状態などに合わせて、望ましい就労は変化し続ける。イノベーションの世界での活躍だけでも、ケアの世界の就労だけでもない、選択肢の幅を提供する。 障害者就労者への人材開発投資 一般就労者に対して障害者雇用就労者は人材開発投資が少ない傾向。障害者就労者にもリスキリング等、成長のための人材投資をできる仕組みで成長を支援する。 自己受容と成長のための支援 ありたい姿の差分が見えてはじめて自分の弱み(障害含む)の受容、成長に向けた活動が始まる。必要なリソースや環境(職場含む)にアクセスできるようにする。 「私のトリセツ」を使う等心理的安全性の高いオンボーディグ 弱さを開示し合える心理的安全性を担保するオンボプロセス。みんなが「私のトリセツ」作成しシェアしあうと共に、当事者は自分の最適な開示度合いを調整する。 体験型ジョブマッチプロセス 応募→面接→採用というデジタルなプロセスではなく、職場体験、一定期間のインターン、トライアル雇用等、グラデーションあるプロセスで最適なジョブマッチを実現する。 短期サイクルの人事評価 1年単位の人事評価サイクルはわかりやすいが、そこまで長期だと体調を見通しにくい。6ヶ月、3ヶ月などより短期での目標設定・人事評価サイクルを回す。 マイノリティ人材育成をマネジメントKPI化 マイノリティ人材の育成をマネジメント要件に入れる。マネージャーが個人としてパフォーマンスをあげることではなく、育成を重要KPIにして動機づけする。 ディーセントマインドの醸成 障害者就労を含むインクルーシビティを社会全体が意識し、支え・支えられていくことが巡り巡って社会の価値や富も大きくする、広義のディーセントマインドを社会として醸成する。 「混ぜる」複雑系マネジメントの実装 一つの組織でイノベーションとケアの方向性を意識的に混ぜる複雑系マネジメントによって、貢献と価値が循環し、みんなのディーセントワークが実現していく。 バイアスフリーのDE&Iマネジメント 無意識バイアス(できないだろう、失敗させたくない)を乗り越えた、真のDE&Iマネジメント。健常者側の意識変化が鍵となる。 「貢献」を組み合わせたモザイク型経営 「障害者」ではなく「私」へのマネジメントが行われる組織環境で、一人一人の人材の力を引き出し、できること=「貢献」をピースとして組み合わせたモザイク型経営が組織力が最大化する。 営利組織・福祉の連携 IPS型支援、リワークをはじめとする社外の就労移行支援組織とのシームレスな連携で営利と福祉の間のグレーゾーンに落ちる就労も支援する。 現場志向の支援者の活躍 事業現場の状況も理解しつつ、医学等専門的見地から最適解を見出すリエゾン的存在としての産業医の活躍が組織のオペレーションの潤滑油になる。 マルチステークホルダー間の対話による合理的配慮形成 一人ひとり異なる当事者の合理的配慮を、関係者(当事者、上司、同僚、産業医、ジョブコーチなど)の間の「対話」を通じて丁寧に形成する仕組み。 セルフケアインフラ 当事者が休めたることはもちろん、健常者員も使える、職場内セルフケアインフラ(グリーンルーム等)を整備する。自分の健康を自分で守れるように下支えする。 職場外の人間関係ケア 本人・上司・同僚だけではなく主治医、家族、友人など、職場外の人たちともコミュニケーションを取りながら当事者をケアするネットワーク・仕組みを作る。 障害者フォーラム開催 組織のメンバーが皆でマイノリティの存在に関心を持つきっかけづくりになるイベントやフォーラム、交流の場をデザインする。 マイノリティアライ活動 組織の中のマイノリティ(障害者含む)の「仲間・支援者(アライ)」を組織することで、縦横斜めの組織の中にサークル状のゆるいつながりをデザインする。 ブランド・付加価値化 精神障害者を含むマイノリティ人材が商品・サービスを作ることで生まれる「ストーリー」を発信し、ブランド・付加価値にする。海外インバウンドによるエシカル消費等。 シゴトのリフレーミング 一見陽の当たらない仕事でも、徹底したオペレーションの磨き込みは人が目を瞠り感動を生む力がある(例:新幹線清掃の7分間の奇跡)。結果、組織運営・エンゲージメントが飛躍する。 人材成長が付加価値を生むパーパスドリブンのソーシャルグッド経営 パーパスを軸に組織としてのやりたいことを設定し、全員でその目標達成のためになにをすべきか・できるかを考える経営が障害健常関係なく人が成長することを組織の付加価値に変える。 BPOプラットフォーム型就労支援 障害者ワーカーによるBPOサービスで、当事者に仕事の選択肢を提供する。 組合型就労支援シェア 組合型で法定雇用率をシェアしつつ、当事者には仕事の選択肢を提供する。 就労支援と一般就労のハイブリッド事業 組織内で就労支援事業と通常の営利事業をシームレスに混在させ、成長に応じて柔軟に移行させる仕組み。組織の中に一本のキャリアの道が見える形が成長意欲を高める。 健常・障害関係ない成長ラダー 組織としての「やりたいこと」を出発地点に健常・障害を分けない一本の能力ラダーを作り、そこを登ることで成長できる仕組みを整える。仕事に慣れた障害者が健常者に教えるシーンを自然なものにする。 自己決定できる機会の後押し 当事者が誰かに機会を「提供される」のではなく、自分自身で「こうなりたいと決定する」ことから個人の成長が始まる。自己決定を促す機会作りと後押しを行う。 組織全体のDE&Iリテラシー向上 縦横斜め組織全員が組織にいるマイノリティ(障害者を含む)へのリテラシーを高める。